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【東京国際文芸フェスティバル】オリジナルイベント"ひらがな"を体験する展示?!『五〇音展』を全力レポート!

学生は卒業式ラッシュを迎え、世間では3連休が明けようとしていて、そんな月曜日の夜です。少し前に行った展示について、書いてみたいと思います。

 

東京国際文芸フェスティバルという大規模なイベントで、オリジナルイベントの1つとして2016年3月5日、6日の2日間に渡って開催した「五〇音展」。大学時代からの友人2人と私を含めた3人の"チームNAS"という団体で行いました。

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五〇音展って?

ざっくりいうと、"ひらがな"である五十音を体感する展示です。文字に触ってみたり、声を聞いてみたり、翻訳をしてみたり、文字の象について考えてみたり。そこから少し踏み込んで、日本語特有の"ことば"の語源や可能性について私たちなりに表現してみました。

展示をやる経緯だとか、NASってなんだよ?って話は友人らのブログに詳しく記載があったので、興味を持って頂いた方は覗いてみてほしい。

 

なかはら:それで、五〇音展どうだったの? - どうしたって仕方のないこと(仮)

すずき:五〇音展の翌々日に – ゆるかしこい

 

展示の開催からあれよあれよと言う間に日数が過ぎていき、何かしらの形でまとめをしなきゃいけないと思っていました。そんななかで、ふと後輩がFacebookのTL上に五〇音展についての感想を投稿してくれて、素直にとってもうれしかった。同時にコメント欄で、同じくご来場頂いた先輩の夏目漱石の気分になるやつ(展示コンテンツ一部)の結果発表がみたい」といった一文を拝読。はっとした。

「そうだ!結果発表!レポート!!」

本当ならすぐにでもレポートをしたいところだったけど、3人とも普通の会社員で、今回の展示も当日までてんやわんやなわけだったから、難しいことはたくさんありました。。言い訳と前置きはこのくらいにして、「五〇音展」について1つずつ解体していきます。

 

■ご来場いただいた方々の有難いツイートもまとめました!

togetter.com

 

「五〇音展」コンテンツ紹介とご来場の皆さまの答え合わせ

01.あいさつのことば

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こんにちは。チームNASです。"なかはら"のN、"あおき"のA、"すずき"のSでやっています。サークルでもなければ決まった活動はありません。面白そうだねって思うとのっかります。「あいさつのことば」では、五〇音展についてそれぞれの思いを書いています。

 

また、一番日常的な「あいさつ」で始まり、あいさつで終わるのがいいねと展示の全体に通してあいさつを散りばめました。

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紙をめくると、ことばの語源が書いてあります。何気なく使っている日々のあいさつにも、ちゃんと意味があることを再認識します。

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「ただいま」

 02.文字に、触ろう。文字で、遊ぼう。

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見慣れた文字に触ってみる機会って、なかなかないですよね。

「あ、ひらがなって立たせるとこんな風に見えるんだね。」

「意外と"か細い"文字なんだね。」

「この文字、"動物みたいじゃない?」

そんな遊び方もできるし、作文用紙のマス目に合わせて好きなことばを象ってみたり。知らなかった文字の、意外な可能性が広がります。

03.分解して、組み立てて、ひらがなって似ている?

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"文字ふくわらい"と称したひらがなの因数分解パズル。一筆書きしたひらがなを分解すると、パネルにはめるのは結構難しい。例えば「な」に使われている"ナ","よ","ヽ"だって、"ナ"は「た」にもなるし"よ"は「は」にも「ほ」にもなるのです。似ている部品を組み立てて、五十音もつくれちゃうのだから、ひらがなってすごい。

04.「音」を"ことば"に変える。十人十色の「音」があった。

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用意したのは3つの音。どれも、みんながどこかで聞いたことのある音を入れました。"耳に聞こえた音は、何の音だった?"という問いかけに対して、たくさんの回答で溢れかえったノート。

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「づづざ」がある人には"夕立"だし、またある人には"拍手"なんだから、おもしろい。この音はこれ!って、決まってなければ空想はいくらだって広がります。

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05.「色」に名前をつけてみる。記号だけじゃつまらないもの。

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混ぜてつくった6色を、カードに1枚ずつ散りばめて"この色に、名前をつけてください。"と問いかけました。

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"緑"とか"黄緑"はあるけど、色には濃淡で細かい違いがあります。そうしたら、もっと幻想的で、もっと細分化された色にも名前があってもいいと思っていました。本当は"天使の寝顔を見ている母の心情色"とか、ちょっぴりポエミーな名前を想像していたのだけれど、訪れた人はみんな「この色が何色に見えるか?」に焦点を当てて書いてくれました。所謂"オレンジ色"は"にんじん"とか。笑 

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 考えてみれば、「確かに……?」と思ってしまうような名前がちらりほらり。"目に飛び込んできた感覚的なもの"を言語化していきます。

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06.自分のことばで、「I love you.」を翻訳する。気恥ずかしいなんて、はずかしいよ。

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文豪夏目漱石が"I love you."を"今夜は月がきれいですね。"と訳したのは有名なお話。

さて、あなただったらなんて訳す?

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ちょっぴり気恥ずかしいセリフだって、匿名だからこそ書き綴ることができる。さまざまな言葉で表現された"I love you."から、日本語の可能性の広さ、奥深さを体感します。

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07.「もしもし?」「今から帰るよ」声が聞こえる。"ことば"を感じる

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昔懐かしい黒電話の受話器に耳を傾けると、誰かの「声」が聞こえてくる。それはたくさんの「もしもし?」かもしれないし、彼氏彼女の帰宅を予感されるものかもしれない。忙しさを理由に、なかなか帰れなかったことを心配する父母の声かもしれない。誰かの声って安心する。"ことば"に字面じゃ見えなかった"音"の命が宿ります。 

08.「オノマトペットボトル」で、音×感情×文字を聴く

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オノマトペって知っていますか?

  1. 自然界の音・声、物事の状態や動きなどを音(おん)で象徴的に表した語。音象徴語。擬音語・擬声語・擬態語など。
    ▷ イギリス onomatopoeia フランス onomatopéeオノマトペア」とも言う。

オノマトペットボトル」は、感情マラカス。"いらいら"した時ってこんな音?"どきどき"した時って、こんな音?人によって、「これって"わくわく"じゃない?」とか違う表現がどんどん出てくるのも面白い。これも回答系にしてみてもよかったかも。気軽に手に取れてじゃかじゃか振れるので、ふらっと訪れた色んな人が遊んでくれました。

09."ひらがな"に「取り扱い説明書」があったとしたら?

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小学校低学年、早ければその前から習う五十音のひらがな表。書き方、書き順は教わるけれど、ひらがなを分解したときのタイプ分けだとか、他の文字がお互いをどう思っているかなんて、先生は教えてくれないし、きっと正解なんてものはないのだと思う。分解してみると、文字の色んな性質が見えてくる。違ったひらがなの可能性に気づかされます。

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 え?

10.運命の一文字、運命の書物に出逢う「五〇音みくじ」

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箱の中から、運命の一文字を引き出す。書かれた文字を手にとって、おみくじを読むと文豪の名言がずらり。今の自分にとって最適なことばが記載されています。おみくじには書物の入手先や読むと良い時間まで書かれているので、展示の帰りには思わず書店に行きたくなるような、そんな意図も散りばめていました。

11.わたしだけのしおりをつくる。わたしだけの、時間を紡ぐ。しおりワークショップ

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「五〇音展みくじ」をひいて、"自分が今、読むべき一冊"を見つけたら、その本を読むためには"しおり"が必要になります。文字ステッカーで好きな文字を選び、作文用紙の台紙に好きなことばを彩りましょう。

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(難しい本をここまで読んだから)「ほめてくれ」とか、次のために「ここから」とか、思い思いの好きなしおりがつくれます。漢字は「五〇音展」のみ用意していました。

 

*番外編*

展示のコンテンツとは直接関係ないけれど、開催にあたりこんなのもありましたよってものをご紹介します。

五〇音展コラボメニュー「甘酒」

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温かいもの、冷たいものどちらもご用意させていただきました。今回展示の会場としてお世話になった"HOTEL GRAPHY NEZU"さんではカフェが併設されていて、そちらでコラボメニューを販売させて頂けたのです。甘酒が苦手だった人にも是非飲んでみてほしい一品。冷たい甘酒って馴染みないけれど、すっきり飲みやすくそれでいてコクがあるので何杯もほしくなります。

 

NASのオススメな本たち

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本棚に、3人各々が影響を受けたものやこれが好きよっていう本を2〜3冊忍ばせました。 

文字を持ち歩く、ひらがなブローチ

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髪につけるヘアピン、カーディガンやトートバックにつけて文字を持ち歩けるブローチを販売していました。

スペシャルサンクス/えりこ

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今回の展示に際して、寄稿してくれた後輩の作文。五〇音展の文字とNASくんのスタンプをつくってくれました。作文があまりに良くて、2日目は思わず貼り付けたのでした。 

終わりに

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こうして展示物全てを書き起こしてみると、"ひらがな"や"ことば"の多面性にまた気付かされます。また、今回の展示で面白かったのはどれかが爆発的に人気になるわけではなくて、展示にきてくれたその人それぞれが自分なりのお気に入りを見つけてくれていたこと。壁に移る映像や、天井から吊るした文字で思い思いの写真を撮ってみたり、私たちが想像していなかったような遊び方を見つけてくれたこと。それがとっても嬉しくて、五〇音展をやってよかったなぁと思っています。

会場を提供して頂いたHOTEL GRAPHYさん、遅くまで準備に付き合ってくださったしろちゃん、トミー、音声協力してくれたユダくん、スタンプをつくってくれたえりこ、根津の会場まで訪れて頂いた方々、遠隔から支援して頂いた方々、取材に来てくれた文芸フェスの方々、皆々様あっての展示だと痛感しております。

 

ほんとうに、ほんとうにありがとうございました。すき。みんな、だいすきだ。